テイク・オフ。小さなその背中も、笑うと傾ぐ三日月みたいな瞳も、手の平に収まる掌だって。きみを包み巡る全てが愛おしい、なんて脆弱(ぜいじゃく)で滑稽で心地好いんだろう。24Jan2021theyindexnovels.
いつか夢で。ベットの中で抱き締めたのは多分、間違いなくあなた。マルーン5の流れる六畳のマンションで、そう外は雨なんかが降っていて。そう、あなたは「なんだ雨降ってるんじゃん」とか言ったりしてさ。ちょっとだけ、嫌な顔をするんだけどまんざらそうでもないの。あなたは枕に目一杯顔を埋めて苦しそうなんだけど、極めて規則正しい寝息をたてている。髪、少し伸びたかな?なんて世界で一番近いところであなたの寝顔を眺めたり。通った鼻筋とか、長い睫毛だとか、少し薄い唇なんかを誰より近くで眺める。折角の休みなんだしどこか出かけない?なんて、私たち二人には愚問。一緒に過ごして、目覚めたら決めたらいい。何だか幸せでくすぐったい。ああ、こんな気持ちなんて言うんだっけ? ...24Jan2021theyindex大まるnovels.
皆既日食の朝。太陽が隠れる。宇宙の神秘に巷は浮き足立っている。昼間が明るいのは、太陽があってこそなのに。それが闇に変わることを、なぜだか手放しでは喜べないのは私だけではないはずなのに。彼は、ロマンがないと笑うのだ。そういうあなたは、一体いつから銀河だ浪漫だ思いを馳せるようになったの。その繊細な容姿に相反して、野心家な所。実は、熱情的に誰かを求めるとか、そんな粗削りなあなたをとても気に入っていたのにね。24Jan2021theyindex大まるnovels.